• 2017.09.21

工場案内をしたら材木屋なのに段ボールを譲ってくれとお願いされた話

 

仕事柄、会社の工場をお客さんにご案内することが多くあります。 西粟倉・森の学校は小さな村の小さな木材加工工場。

村にはコンビニはないし、信号は二つしかありません。ドがつく田舎です。けれど、年間400〜500名以上の方々が全国からわざわざ足を運び工場を見学してくださいます。

今日も宮崎県からいらっしゃったお客さん十数名に、会社の取り組み説明や工場案内をさせていただいたのでした。

 

 

「この丸太って一本いくらだと思いますか?」

「あの工程は何をやっていると思いますか?」

 

工場を案内する中でお客さんに質問を投げかけることがあります。わざわざ田舎の小さな工場に足を運んでくださったお客さんに少しでも多く木のことを知ってほしいから。

「こんなに手間のかかる作業だなんて知らなかったので勉強になりました」

「実際につくっている現場を見せてもらえたので安心して使えます」

と嬉しいコメントをいただけることも多いので、話しているうちにテンションも上がってしまいます。そして、ついつい話し過ぎて時間オーバー。

お客さんのスケジュールを遅らせる常習犯でございます(すいません!)。

 

 

西粟倉・森の学校はまだまだ小さな会社なので、かっこいいショールームはありません。 けれど、山々に囲まれた工場で、森から伐り出された丸太を使い、一枚一枚のフローリングをつくり続けるモノづくりの現場があります。

手を動かし汗を流すつくり手の顔を見ることのできる場所です。 森づくりの背景から、顔が見えるモノづくりまで、距離をぎゅっと縮めてお客さんに伝えることができるのは小さな規模感だからこそ。 日本の森と人の暮らしの距離を縮めることがぼくらの役割だと(勝手に)思っています。

 

 

「ねえねえ、おにいさん、この段ボール一枚もらっていいかしら?」

 

「え、木じゃなくて段ボールですか?!」

 

今日、工場をご案内したお客さんからこんな相談をいただきました。

 

実は最近、製品パッケージのリニューアルをしました。一部の製品はこんな段ボールで梱包されています。

芸大出身のスタッフがパッケージを1からデザインしてくれました。ね、かわいいでしょ?

 

山で木を植える様子、チェンソーで伐採する様子、丸太が積み重なる様子、フォークリフトで丸太を運ぶ様子、工場で製品をつくる様子、お客さんが床を貼る様子……を

イラストで段ボール五面にわたって描いてあるのです。   実はこれ、現場スタッフの似顔絵になっているんですよ。

 

フォークリフトに乗っているのはシミズくん、木材をカットしてるのはカネダさん、アベさん&イワモトさんが梱包して……といった感じ。ぼくたちなりの小さな遊び心です。

 

スギやヒノキって(ほぼ)日本全国どこでも生えています。西粟倉村は産地としてブランドがあるわけではありません。大量生産する規模ではないので価格もあまり安くはつくれません。 だけど、50-60年前にこの辺りの山に植えられた木があって、世代を越えた手がかかって時間をかけて育った木がある。この小さな村で、山々に囲まれたこの工場で、ここにいるスタッフたちが一枚一枚の製品をつくっている。 その時間軸、雰囲気や空気感を少しでも知ってもらいたいね、とパッケージデザインにも取り入れてみたのでした。

 

 

そんな話を工場案内でさせてもらったところ、 「ねえねえ、おにいさん、この段ボール一枚もらっていいかしら?」 という相談をいただくことになったのでした。どうぞどうぞ!

 

「梱包するだけの段ボールにもストーリーがあるなんて素敵だわぁ」

 

そのお客さんは今から宮崎に帰るっていうのに小脇に大きな段ボールを抱えてバスに乗り込んだのでした。

それもニコニコと笑顔で。 パッケージデザインをしてくれたスタッフも、パッケージに登場する現場スタッフもこの話を聞いて喜んでくれたのでした。

そして、なにより照れるスタッフたちにこれみよがしに話し込んでいる自分自身が嬉しかったり。梱包のための段ボール一枚にだって思いはこもるんです。

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三重大学を卒業後、国産材専門の木材商社を経て、西粟倉村へ移住。新たな木材流通をつくるためプロユースの営業を担当。山を走り回ったり、狩猟をしたり、DIYに勤しんでいます。
個人ブログも書いてます → http://hadatomohiro.com/