
図書館ですてきな絵本を見つけました。<
日本の材木 杉 >というなんとも珍しい(マニアックな)杉の絵本です。
ストーリーは「杉ツアー」というバスツアーを通して、杉の用途を知ったり産地を訪れたりするというもの。ガイドを務めるバス添乗員の杉田杉子をはじめ、スギタケルノオオキミ、杉守板義、一心太助、杉本茂の五名の人物が登場します(絵本らしからぬ参加者の名前は突っ込みどころが満載)。
どうせ児童向けの絵本でしょ、と侮ることなかれ。絵本ながら内容は非常に凝ったものになっていてきっと驚きますよ。
建築材や桶や樽などといった杉の用途はもちろん、間伐や枝打ちといった育林過程、吉野杉や秋田杉、京都の台杉などの産地にも触れています。
さらに板目や柾目についても木取りに触れながら解説までされています。総じて、杉の性質とそれを生かした用途をわかりやすく表現されていました。オトナが読んでも十分にタメになる内容。

ストーリーの中で木々の特徴に触れる絵本はいくつかあれど、その用途が歴史を通して人々の暮らしの中でどのように発展したかについて触れる絵本はとても少ないんじゃないかと思うのです。そういった意味で、とてもわかりやすく面白い絵本でした。
作者・ゆのきようこ氏の著作には、他にも「
日本の風景 松」や「
山のごちそう どんぐりの木」など木々を取り上げた絵本がいくつもあります。
鼻はムズムズ、目はシパシパ。ようやくスギ花粉も落ち着いてきた今日この頃、この絵本を読んだあとには杉の見方がちょっとだけ変わるかもしれません。
絵本を通して、暮らしの中での木材用途を知る機会を伝えていくってすてきなことだなと思ったのでした。親子で楽しめる絵本なので、ぜひ開いてみてくださいね。